GOOD BOYS

ごきげんよう

 

2023/1/21

 

舞台を見た。

軽い話ではない。明確な救いがあるわけでもない。

色々な解釈ができそうだった。

感想を一言で表すのは難しいが、考えることが好きだから、見てよかった。

 

タイトル

GOOD BOYS

会場

新宿シアタートップス

 

 

悪童日記がモチーフの前情報だけで見た。

 

作品と会場が合っていて好きだった。

冒頭、暗転して、双子が閉じ込められて怖がっているシーン、閉塞感と双子の存在を間近に感じてとても記憶に残っている。

舞台上から衣擦れの音や息遣い、無音が伝わってくる。

特に双子を演じている福崎さん、佐久本さんが、演じている今この瞬間も役とぶつかって理解し続けようとしている印象だった。

この閉塞感は、双子のいる世界の、双子の知る世界の狭さのような気もした。

 

ストーリーは双子が日記を書いていて、その内容を読んでいるかのように進んでいく。真ん中に扉、壁が日記のページのように何枚か捲れるようになっていておもしろい。

時の流れに沿って捲られたり、家の壁になったり、照明も相まって雰囲気が変わって、良いなと思った。

 

おばあちゃん、おとうさん、おかあさんの存在感と、悪気のなさというか、リアルさというか、すごくいやで、演技が素敵だった。おじちゃんも絶妙だった。

 

双子の目線でストーリーが進んでいき、それぞれのキャラクターに名前がない。

見ているなかで、ああ、このおねえちゃんと呼ばれる少女は盲目なんだな、とか理解して、次のシーンで出てきた時に、おねえちゃんではなく、盲目の少女だ、と頭の中で勝手にレッテルを貼ってしまっているようで少し自分がいやになった。

 

双子が放つ、見える、見えない、見ようとしている、見ようとしていない、の言葉は、言葉遊びのようだけど、その意味の違いの大きさがつらい。

おかあさんはもちろん、おばあちゃんが良い人だったかというと、多分そんなことはない。でも、おかあさんよりは確実に双子のことを見ていた。

 

レーニングのシーンはとても痛々しい。

このシーンは特に演者が違ったら全く別の感想を抱いたかもしれないと思う。トレーニングは何回も続く。痛くて、見ていたくない時間だった。

2人は強くなるためと言ってトレーニングで傷つけ合っていて、痛くない!と言いながら、存在を確かめ合うように抱きしめあっている。後半は本当に強くなるためだけのトレーニングだったのかな、なんてことを思った。

 

ラストのシーンはかなり解釈が分かれる気がする。最後、傷つけた方が、痛くない!と言ったりしていて、双子はかなり極限だ。

最初から1人だったのかもしれないし、双子の片方がそっと姿を消したのかもしれないし、はたまた殺してしまったのかもしれない。あれだけのトレーニングであれば、弱って死んでしまった可能性もある。

2人は1つ。

見終わったあと、ずっとぐるぐると考えてしまった。

 

明確に説明はないけれど、ストーリーはおそらく現代社会。今この瞬間も、自分が見ている世界と見たことがない世界、見ようとしていない世界がたくさんある。

外国人のコンビニアルバイトのくだりで出てきた、日本人らしい日本人ってなんだろう?と思ったりはした。

見終わったあと劇場を出ると、冷たい空気と見慣れた新宿の繁華街に引き戻されて、あんなに閉塞感を感じていた暗闇の劇場が少し恋しくなった。